ツタンカーメン 〜KV62〜  

   


言わずと知れた、王家の谷で一番有名な王墓です。
イクナトンの宗教改革により、唯一神がアテン神とされましたが、ツタンカーメンはアメン信仰を復活させています。
(このときに、ツタンカーテン⇒ツタンカーメンに名前を変えています。)

このお墓は他のお墓に比べてかなり小さいので、すべての壁画をじっくり&ゆっくり見て欲しいのですが、
あえて、見所をあげるとすると以下3点。
@ ツタンカーメンの後に王となる、アイが「開口の儀式」を執り行っている場面の壁画。
A 玄室西側に描かれた「アムドゥアドの書」ヒヒの絵。
B ツタンカーメンのミイラ


現地で購入したポストカードより

右側にヒヒの絵が見えます。
アイの墓にあるものとかなり
似ています。
 


現地で購入したポストカードより

ヒヒの絵の拡大Version。   

入口から階段を下ると、まず、前室にたどり着きます。前室には現在、ツタンカーメンのミイラが展示されています。
あまり、状態の良いものとは言えません(保存用の香油などを過剰に貼付したため、保蔵状態が返って悪くなってしまったようです)。
個人的には、ツタンカーメンのミイラよりも、カイロ博物館にあるラムセス2世のミイラの方が見ごたえがあると思います。

玄室には、石棺がおいてある状態で、観光客は前室から玄室をのぞくような形となります。

右手(東壁)から順にみていくと、まずは、王の葬列の場面が描かれています。
http://www.griffith.ox.ac.uk/gri/carter/b-gallery01/p0879a.html
ソリに乗せた厨子の中に横たわる王のミイラを、墓へと引いていく12人の高官が描かれています。
この葬送の行列には、二人の宰相(その衣装によって身分が分かるそうです)がおり、また、最後の1人は、おそらく将軍であり、後に王となるホルエムヘブ
では?と言われているそうです。
このような葬列の絵は、貴族のお墓では見かけることがありますが、王のお墓では珍しいものです。
ちなみに、壁画の上に書かれているヒエログリフの意味は
「オシリス、王、二国の主、ツタンカーメン(ネブケペルーラー)を西方へ引いていく王宮の友人達の言葉。彼らは言う。「ネブケペルーラーよ、ようこそ。
おお、神、大地の保護(これは掛け声みたいなものらしいです)」
らしいです。
ちなみに、壁画の上に黒い線(両端に下向きの三角となっている)がありますが、これはヒエログリフで「ペト(天)」を示しており、墓の1つ1つの場面の
区切りとなっているらしいです。
ちなみに
アイの墓にも同じようにペトが描かれていました。

次に正面(北壁)をみると、開口の儀式の絵と、神々に迎えられるツタンカーメンの絵が描かれています。
http://www.griffith.ox.ac.uk/gri/carter/b-gallery01/p0879c.html
上記アドレスにある写真の右側が開口の儀式の絵です。
開口の儀式とは、王が死後に物を食べたり話をするなど、来世で不自由なく生きることが出来るように祈願する儀式です。
ちなみに、アイは神官としてヒョウの衣服を着ています(ちょっとセクシー。。)。
アイの名前は王名として記載されており、王墓で後継者が先王への儀式を施すという絵があるのはツタンカーメンの墓だけです。
ツタンカーメンとアイの絵の上のヒエログリグには、2人の称号&名前&永遠に生きよ!って感じの文言が記載されています。

北壁にある絵の真ん中には、ヌト女神がツタンカーメンを歓迎している場面が描かれています。
ツタンカーメンの上のヒエログリフには、ツタンカーメンの称号・名前&永遠に生きよ!と言う文言が書かれています。
ヌト女神の上のヒエログリフには、ヌト女神の称号・間苗&ヌト女神がツタンカーメンを歓迎している旨&ヌト女神がツタンカーメンに健康と生命を
与えるという言葉が記載されています。

北壁にある絵の左側には、オシリス神に迎えられるツタンカーメンの絵が描かれています。
オシリス神は白い布で全身が巻かれた姿で表され、顔は緑や黒で彩色されています。緑は植物の色、黒はナイル川周辺の肥えた土の色を表しており、
再生&復活のシンボルとされていたらしいです。
ツタンカーメンの後ろにいる、頭上に王のホルス名と両腕(カー)のヒエログリフをのせている人物は、王のカー(魂)の姿です。
オシリス神の上のヒエログリフには、オシリス神の名前とともに、良き神、西方の第一人者というオシリス神の称号が書かれています。
また、ツタンカーメンの上のヒエログリフには、ツタンカーメンの称号&名前&永遠に生きよ!という文言が記載されています。
カーの上には、「王のカーは石棺の前にある」とヒエログリフで記されています。

次に右手(西壁)を見ると、アムドゥアドの書(ヒヒの絵)が描かれています。
http://www.griffith.ox.ac.uk/gri/carter/b-gallery01/p0879.html
この壁には、夜の航海に出発する太陽神のために、西の地平線にある冥界への門を開く12頭のヒヒが描かれています。
この絵は
アイの墓にある絵と、かなり似ています。
アイの墓の絵と見比べてみては、いかがでしょうか?

壁にも絵が描かれていますが、観光客は前室から玄室をのぞくような形になるので、南壁の絵を見ることは出来ません。
http://www.griffith.ox.ac.uk/gri/carter/b-gallery01/p1592.html
ツタンカーメンがハトホル女神によって、冥界に迎えられている様子が描かれています。
王の後ろにいるのはアヌビス神です。アヌビス神は死者の守護神、ミイラ作りの神様です。
アヌビスの横には、イシス神の他3体の神々が描かれていたらしいですが、発掘時に崩されてしまったらしいです。


ツタンカーメンの王墓には、古代において2回、盗掘に遭っているようです。
2回目に盗掘が行われた後に、書記のジェフティメスらによって補修作業が行われたそうです。ジェフティメスは、泥棒達が動かした品々をもとの場所に戻し、新しい品々の入った箱に内容証明を入れていたらしいです。盗掘者はツタンカーメンの外側の厨子の封印は解いたものの、それより内側のものには手を
触れなかったため、ツタンカーメンの墓が発掘された時には、王の遺体は埋葬された時のままの状態であったらしいです。
(ちなみにジェフティメスは上官のマヤとともに、ホルエムヘブの指示のもと、トトメス4世の墓の修復も行っています。トトメス4世王墓前室には、
マヤとジェフティメスによってトトメス4世王墓の修復が行われた旨がヒエラティックで記載されています。)


ツタンカーメンの王墓は、王家の墓の入場代金(3つの墓が入れるチケット)とは別のチケットを購入する必要があります。
このチケットはタフタフを降りたところで購入できますが、約2,000円ほどします(高い!)。
高い料金を払って入場するのであれば、いろいろと事前に勉強してから観光した方が良いでしょう。。
ってか、事前勉強せずに入場すると、ツタンカーメンの墓が思っていたよりも小さすぎて、「あれ?、こんなもんなの?」って感じになってしまう可能性があるので。。。
欲を言えば、
西谷のアイのお墓を見てから、ツタンカーメンのお墓を見ると、楽しさが増すと思います!

概要や、見取り図は
テーベマッピングプロジェクトHPをご覧ください。


このページを作成するにあたり、主として王家の谷〜テーベの神殿とネクロポリス」「図説 王家の谷百科」「図説 ツタンカーメン王」「図説 古代エジプト2 「王家の谷と神々の遺産」篇」「古代エジプト文字への招待 ヒエログリフ入門」「Let's Try! ヒエログリフ」
を参考とさせていただきました。

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